ジベールの家に戻ってみると、ティトレイとジベールが楽しそうに話し込んでいた。

ずいぶんと親しくなったようだ。
ティトレイの誰とでも仲良くなれる特性は本当に尊敬に値する。


ティトレイと、ハック救出のおかげでジベールから信頼を得られたようだ。
ようやく、隠し通路の在り処を教えてもらえた。



やっと、これでクレアの元へ行ける。

クレア、必ず助け出す。  待っていてくれ――――




クレアにもらった誕生日プレゼントを片手に握り、ヴェイグは決意を固める。
ふと、ハックがその美しく輝く石を見て、言った。


「その石は・・・もしかして蒼月石じゃないかな?」
「蒼月石?」
「不思議な石だよ。月のように満ち欠けするんだ。・・・そういえば君の首輪の石も蒼月石だね」


ハックはそう言ってを・・・彼女の身に着ける首輪に装飾された石を見る。
言われたヴェイグとは互いの蒼月石を確認した。


ヴェイグのは美しい蒼色、のは軽く紫色がかった蒼だ。


「蒼月石には言い伝えがあってね、石に光が満ちる時、封印されていた聖なる王が蘇るって言われているんだ」
「聖なる王が・・・蘇る・・・」


その言葉にヴェイグとが戸惑うのを見て、あくまで言い伝えだから気にする事は無いとハックは笑う。


しかし、二人にはその不安を消す事は出来なかった。




























ジベール達に礼を言ったヴェイグ達はジベールの家の裏手にあるという隠し通路へ向かった。


「・・・こんなところに通路があるとはなー」

まるで地下水道のようなその地下通路に入り、ティトレイの第一声。


「元々は王族の緊急避難通路だったんだろうな。
 でもカレギアは数百年前からずっと平安を保っているし・・・・・・忘れられたんだろうな」

が言うと、同意するようにハープがキキィと鳴いた。鳴き声が通路の奥まで響く。




「ふーん。結構いい加減だな」
「・・・スマン」
「ユージーンが謝ることないよー!それにボク達にしてみればこれはラッキーじゃない!」
「アンタ・・・何で私達がこんなところから城に入ってると思ってるのよ?」


大声を出すマオをヒルダが咎める。
ヴェイグはそのやり取りを興味なさ気に一瞥し、「行くぞ」とただ一言告げて足を進めた。

























城内に進入を果たすと、客室の一室に出てきたことが判明した。


きっと娘達はこういった客室に捕らえられているのだろうと言ったアニー。
彼女の言葉に一同は同意して、兵士の目を掻い潜って順調に通路を通過していく。


広間と一般通路をつなぐ通路に差し掛かったところで、ユージーンが皆の足を止めた。





「広間を通り抜けるのは危険だ。左から回ろう」

提案に従い、進もうとした足はヴェイグ達以外から発せられた笑い声で止められる。


「ふっ、どこに行くのかな?ドブネズミ君達」

ヴェイグ達が声のする方を向く。
今まさに向かおうとした一般通路から彼らがよく知る人物、基、敵対する人物が歩いて来た。



・・・・・・サレだ。


「サレ様・・・」
「やぁ。会いたかったよ、


辛そうに自分を見るを見てサレは冷たい微笑を浮かべた。


サレは不敵な笑みを浮かべたままを見つめる。
それを合図にして、彼女の周りに風が生まれ、その身体を持ち上げた。

浮き上がったは抵抗する間もなくサレの元まで運ばれて、ポスンと彼の腕の中に納まった。




ヴェイグが鋭くサレを睨みつける。


「サレ、クレアをどこにやった!?」


今は捕まったを心配しろよと思った一同ではあったが、いちいち突っ込んではいられない。



「さぁ?どこだったかな?」

を抱きしめてご満悦に加えてすっとぼけるサレに、ヴェイグの怒りが沸々と頂点へ上がっていく。


「ふざけるなっ!」
「ふざけてるのは君達だろう?お城に忍び込んだ挙句、国に仕える僕に重要機密をバラせと迫ってるんだからさ」
「だったらそこをどけっ!!」
「僕を誰だと思ってるのかな?四星のサレだよ。そう言われて大人しく僕が退くとでも思っているのかい?」
「・・・ならお前を倒すまでだ」


大剣を構えたヴェイグを見て、サレもレイピアを構える。
・・・レイピアを握った方とは逆の手の、左腕にをしっかりと抱えて。


「その必死な目・・・嫌いだなぁ。君みたいなヒトを見るともっと苛めたくなるんだよねぇ、僕」


睨み合うヴェイグとサレ。
どうするべきかとサレの腕の中で考える

先程からサレに威嚇しっぱなしのハープ。






「何事か!!」



ピンと張った女の声が通路に響き渡った。

声のした方を見れば、声を発したであろうガジュマの女と、
数人の兵に守られるように囲まれているガジュマの美しい娘がこちらを見ていた。


恐らくそれが女王の側近ジルバと、女王アガーテだろうと、初めて見たティトレイは思った。




「貴方は・・・ユージーン。どうしてここに・・・?も・・・戦死したと聞いていたのに・・・」
「陛下!陛下が今何をなされようとしているのかその真意の程をお聞かせ願いたいのです!どうか私にお時間を・・・!」

アガーテに話を聞こうとするユージーンを話す価値無しと判断したジルバが、捕らえるように兵に命じた。


「待ってジルバ。私にユージーンと話しをさせて」
「しかし・・・あの者達がここへ来たのは・・・」
「わかっています。でもユージーンは話の通じない人ではありません。・・・きっとわかってくれるわ」




真っ直ぐに純粋な女王の眼差しに、ジルバが折れたのはまもなくの事だった。


お城に潜入!の巻。
久々登場サレ様に私もうウフフでございます。(キモイよ)
サレ×夢主・・・久々で萌える。
ヴェイグさん今頭の中はクレアの事ばっかり。クレアクレアクレアピーチパイクレアクレア・・・。
え?今何か別のものが聞こえたって??
さぁ?気のせいじゃないかな??

夢主の首輪についてる石は蒼月石でした。でも紫がかったってそれ『蒼』って言うのかな・・・(汗)
とりあえず覚えておいてほしいのは夢主(ホーリィ・ドール)が蒼月石を持ってたコト。
以上!